僕たちは、一旦、街に戻ることにした。
なかなか戦い慣れしてきたんじゃない?、って手応えを、感じられるようになったし。
戦利品も、わりと手に入ってるし。
それに……、
得るものがあった分、失うものもあったし、ね。
体力とか。
疲れたー、ってこと。
そうそう。
僕たち、ね。
実は、そうなるのを見越してたりするんだな。ちゃんと。これが。
つまり、宿に予約を入れてあるってこと。
泊まる部屋を確保してから、森にもぐってるんだよ、ってこと。
だって……。
ぐったりして帰ってきて、さ。
もうダメ、寝る、寝るぞぅ、って宿に入って、さ。
なのに、満室でした。
――なんてことになったら、大変だもんね。
生還するつもりなら、生還した後のことも考えておかなきゃ、なんだよ。
そういうわけで。
せっかく取った部屋を無駄にしない、って意味でも、ここらで戻らなくちゃ……、の僕たちだった。
*
街に戻ってくるまでは、何だか妙にテンションの高い僕たち、だったんだけど、到着して石畳を踏んだ途端、どっ、と疲れが押し寄せてきた僕たち、になっちゃった。
もう、全員、宿に直行しようよー、倒れこみたいよー、って顔。
手持ちの分で足りそうだったから、宿代の心配は、しなくても良さそうだったし、そうしても良かったんだけど……。
ただ、ね。
アイテム的に、ね。
こんなの、ずっと持ち歩いてるのもどうかなぁ――っていうナマモノ的な戦利品も、中にはあったから。
しかたない。
これの処分だけ、先に済ませておこう。
そういうわけで。
もう少しだけ頑張ろうか、何とか……、の僕たちだった。
*
お店に入ってみると、店主(?)のお姉さんがいた。
ところで……。
どうでもいいことなんだけどさ。
このお姉さんを見るたびに、思うことがあるんだよ、僕。
凄い格好してるなぁ、って。
そう思うの。
水着みたいなんだけど……、
全然隠せてないんだよね。
あふれてるっていうか。
こぼれてるっていうか。
凄いことになってるの。
前から見ても凄い。
けしからん!、って感じ。
後ろから見ても凄い。
いいのか!?、って感じ。
あんな格好でいて、どうして平気なのかなぁ……。
もしかして、このひと、許されるなら全裸でいたい、とか考えてる派だったりして……。
うひゃー。
怖ーい。
――え?
あぁ……、うん。
まぁ、そうなんだけどさ。
僕が言えた義理じゃないんだけどさ。
僕も、おへそとか、出してる方だし。
とにかく、そういうお姉さんがいるお店に、僕たちは入った。
って、こんな風に話を進めてると、なんか、いかがわしいお店に来たみたいに聞こえそう。
あはは。
違うよ。
とにかくとにかく。
入ったのね。僕たちとしては。
そしたらお姉さん、僕たちを見て、目を丸くしてるの。
でも、その反応――。
僕たちにとっては、大して、意外なものじゃなかった。
というのも、僕たちみんな、絶対、そういうことになるだろうなぁ、って予測、立ててたからね。
いわゆる、想定の範囲内、ってやつ。
――お姉さんは、いらっしゃい、の代わりに、こう言った。
「治療院だったら、向こうだよ?」
これに応えるのは、
――否定するのは、
すにこの役目だった。
「いや、お店間違えたわけじゃないんです」
何故って、すにこのせいだからね。
そんなアドヴァイスを聞かされる展開に、持ち込まれるのは。
「……そう?」
お姉さんってば、激しく疑わしげ。
そりゃ、そうだよね。
顔中に絆創膏、べったべった貼ってるひとに、そんなこと言われてもなぁ……、だよね。普通。
*
僕たちは、戦利品を売り払う。
これで、新しい武器やら防具やらを作れるようになるよー、って、お姉さんにすごく喜ばれちゃったりして、何だか照れくさかった。
*
そして、
僕たちは、宿屋に戻る。
やっと……、って気分。
とっといた大部屋に入って、
5つのベッドに、適当にそれぞれ、どさーっ、って倒れこむ。
クリスちゃんなんかは、そのまま動かなくなっちゃったね。
すにこはさすがに、鎧がきゅうくつみたいで、横になったまま、もぞもぞ、って脱ごうとしてた。
僕は――、
すにこの逆。
むしろ着た。
着替えた。パジャマに。
荷物から出してきて、もぞもぞ。
*
誰も、口をきかなかった。
僕は、眠くて眠くて。
それで、きけなかった。
みんなも、きっと、そう。
だから、
沈没。
お買いものは、ゆっくり、また明日。
――そんなような、予定を立てておくことも、
おやすみなさーい。
――そんなような、あいさつを交わすことも、
今は、
今だけは、
サボらせてもらって。
(続く)