DOWN TO HEAVy greEN 03

■ ダークハンター・どりり・りり

 あと3人、と馬鹿は言った――。

 あぁ。
 もう、私の中で、こいつの呼称は「馬鹿」と決まってしまったのである。
 名前でなんか、呼んでやるものか。

「ねぇ、どりりん? あと3人、どうする?」

 誰が「どりりん」だ、というわけなのであった。

 そんな不愉快なアダ名で呼ばれているこっちが、なのにどうしてこっちばっかり、あっちを普通の名前で――。

 いや。
「すにこ」というのは、まぁ、「普通の名前」ではないかもしれないけど(というか変な名前だけど)。
 それでも、本名には違いあるまい。

 ――とにかく。
 なのにどうしてこっちばっかり、名前で呼んでやらにゃならんのか。

 そういうわけなのであった。

「不愉快?」
「……不愉快」
「だって貴女。名前――」
「『どりり・りり』。悪いか」
「『悪い』なんて言ってないじゃない」
「悪かったわね、どりり・りりで」
「言ってないって」
「いいや言ってる。目が言ってる」
「言ってないってば。私が言ってるのは」
「何よ」

「じゃあ、『どりりん』ってアダ名、別に間違ってないじゃない、ってこと」

「間違ってる」
「そう? いいと思うけど」
「良かないわよ」
「どうして」
「どうしても」

 馬鹿は、ふぅ、とため息をついた。

「からかいの要素が含まれてるとか、凝りすぎてて恥ずかしいとか、そういうアダ名でなし……。
『どりり・りり』から『どりりん』なんて、アダ名の作り方としては、スタンダードなところじゃない?」

「――それ」
「『それ』?」

「その、スタンダードさがイヤ。
 あんまり考えてない感じがする。それがイヤ」

 すると馬鹿は――、
 うなずいた。

「まぁ、その意見も判らなくもないけど。
 安直だもんね。悪く言えば。
 ――実際、私の中では2秒で決まったアダ名だし」

 認めるなよ。
 そこで認めるなよ。
 そして悪く言うなよ。わざわざ。
 しかも2秒って何。

 ……どんどんイヤになってきたわい。

「イヤ?」
「イ・ヤ」
「……そっか……」
「そう」
「でも――」
「何よ」

「でも、やっぱりメディックは連れていきたいし……、3人とは言っても、正味あとふたりよね、どりりん?」

 だからどうしてそこでフリダシに戻っちゃうのよ馬鹿。